「バスケットボールの神様」と称されるマイケル・ジョーダン。
NBAで6度の優勝を果たし、キャリア平均30.1得点という歴代1位の記録を今も保持し続ける彼は、コートの上だけでなく、スポーツ文化そのものを塗り替えた存在です。
シカゴ・ブルズの黄金期を牽引し、世界中の子どもたちにダンクシュートの夢を与えた男は、いかにして伝説となったのでしょうか。
その生い立ちからNBAでの活躍、引退後のビジネス展開まで、ジョーダンの全キャリアを振り返ります。
生い立ちと高校時代:挫折から始まった才能の開花
マイケル・ジェフリー・ジョーダンは、1963年2月17日にニューヨーク州ブルックリンで生まれました。
その後、ノースカロライナ州ウィルミントンで育ち、エムズリー・A・レイニー高校に進学します。
驚くべきことに、ジョーダンは高校2年生のとき、バーシティチーム(上級チーム)のトライアウトで落選しています。
身長が当時約180センチに届かず、コーチに「上のレベルには早い」と判断されたのです。
この出来事はジョーダン自身が後に繰り返し語るエピソードとなりました。
失意の中でも彼は練習を重ね、翌年には急激な成長とともにチームの中心選手へと成長します。
高校3年時には州内でも注目される存在となり、1981年のマクドナルド・オールアメリカン・ゲームに出場。
この招待制の全米トップ高校生対抗戦で30得点を挙げ、全国にその名を轟かせました。
この活躍がノースカロライナ大学への道を開きます。
大学時代:1年生でNCAAトーナメントを制す
ノースカロライナ大学(UNC)に入学したジョーダンは、1年生にして歴史に残る場面を演じます。
1982年のNCAAトーナメント決勝、ジョージタウン大学との対戦で残り17秒に決勝シュートを沈め、チームの優勝に貢献したのです。
このウィニングショットは伝説として語り継がれ、ジョーダンが”土壇場に強い男”であるという評価の原点となりました。
大学ではその後も実力を磨き続け、3年生のシーズンにはネイスミス賞(全米最優秀選手賞)とジョン・ウッデン賞を同時に受賞。
大学バスケットボール界における最高の称号を同時に手にしたことで、NBAスカウトたちの視線はこの198センチのシューティングガードに集まりました。
3年次終了後、ジョーダンはNBAドラフトへのアーリーエントリーを表明します。
プロ入り前の1984年ロサンゼルスオリンピックには、パトリック・ユーイングらとともにアメリカ代表として出場し金メダルを獲得。
NBAへの助走は万全でした。
NBAデビューとルーキーイヤー:鮮烈な印象を残した初シーズン
1984年のNBAドラフト、ジョーダンはシカゴ・ブルズから全体3位指名を受けました。
1位指名のアキーム・オラジュワン(ヒューストン・ロケッツ)、2位指名のサム・ブーウィ(ポートランド・トレイルブレイザーズ)と、センタープレーヤーに上位を譲った形でしたが、この選択がブルズにとって球団史上最高の決断となります。
同年10月26日のNBAデビュー戦(対ワシントン・ブレッツ)では、40分間出場して16得点・6リバウンド・7アシスト・2スティール・4ブロックを記録。
チームは109対93で快勝し、新人選手とは思えない存在感を示しました。
ルーキーシーズンを通じて平均28.2得点・6.5リバウンド・5.9アシスト・2.4スティールという驚異的なスタッツを残し、ルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人王)に輝きます。
さらにオールNBAセカンドチームにも選出され、単なる新星ではなく即戦力のスターとして認められました。
一方で、オールスターゲームではベテラン選手たちからパスを故意に回されない「フリーズアウト」という嫌がらせを受けるなど、その才能ゆえの軋轢も生じていました。
個人の頂点:MVP獲得と最優秀守備選手賞の同時受賞
1985-86シーズンは足の骨折で64試合を欠場したものの、復帰後のプレーオフでボストン・セルティックス相手に1試合63得点という驚異的な記録を打ち立てます(プレーオフの1試合最多得点記録)。
この試合を観ていたラリー・バードは「神様がジョーダンという人間に姿を変えて現れた」と語ったとされています。
1987-88シーズン、ジョーダンは平均37.1得点を記録してキャリアハイを達成。
この年はシーズンMVPと最優秀守備選手賞を同時に受賞した唯一の選手となりました。
スコアラーとディフェンダー、相反する二つの側面で同時に頂点に立った選手はNBAの歴史上、ジョーダン以外に存在しません。
スラムダンクコンテストでは1987年・1988年と2年連続優勝を果たし、「エア・ジョーダン」の異名を確立。
フリースローラインから踏み切り空中で体勢を変えながら決めるダンクは、バスケットボールというスポーツの概念を拡張するものでした。















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