「全票一致じゃなかったら驚いていた」
事前に問われたウェンバンヤマはそう言い切っていました。その言葉どおりになりました。
サンアントニオ・スパーズのビクター・ウェンバンヤマが、2025-26シーズンのNBAディフェンシブ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤー(DPOY)を受賞しました。
22歳での受賞は同賞の歴史で最年少です。
世界100人の投票者が全員1位票を投じ、1982-83年の賞創設以来初の満場一致という結果でした。
数字が見せる守備の実力
ウェンバンヤマは1試合平均3.1ブロックでリーグトップを記録しました。
これで3年連続の達成です。2位のチェット・ホルムグレンの1.9本と比べると、1.2本以上の差があります。
1試合あたり29.2分という出場時間で、シーズン合計197ブロック(リーグ1位)、ディフェンシブリバウンド11.5本(リーグ2位)、相手のフィールドゴール成功率を42.0%に抑えました。
ウェンバンヤマがコートにいるときのスパーズの失点は100ポゼッション当たり103.6点でしたが、ベンチに下がると113.7点まで上がります。約10点という差が、チームにとっての存在価値を示しています。
ディフェンシブ・ウィンシェア(5.0)、ディフェンシブ・ボックス・プラスマイナス(4.2)、個人ディフェンシブ・レーティング(101.0)でもすべてリーグトップでした。
ブロック、スティール、リバウンド。守備に関わる指標を片っ端から塗り替えたシーズンです。
65試合ラインとの戦い
受賞への道のりは、実は綱渡りでした。
前シーズン(2024-25)は深部静脈血栓症で途中離脱し、受賞資格を失いました。
今シーズンも、12月に左ふくらはぎの負傷で長期欠場を強いられ、出場資格の65試合ラインぎりぎりまで追い込まれました。
「本当の戦いは65試合に到達することだったかもしれない」とウェンバンヤマ自身が振り返っています。
それでも最後まで走り切り、結果を出しました。
チーム全体を引き上げた存在
守備の貢献だけではありません。スパーズは今季62勝20敗で西カンファレンス2位シードを獲得し、2019年以来7年ぶりのプレーオフに出場しました。
ウェンバンヤマは1試合平均25.0得点、11.5リバウンド、3.1アシストをマークしています。
スパーズが今季リーグ3位のディフェンシブ・レーティングを記録した背景には、ウェンバンヤマの守備があります。
彼がペイントエリアにいるだけで、相手はリム攻略の選択肢を根本から変えなければなりません。
そのプレッシャーは、統計に映らない場面でも常にコートを動かしていました。
スパーズの系譜に名を連ねる
ウェンバンヤマはアルビン・ロバートソン(1986年)、デイビッド・ロビンソン(1992年)、カワイ・レナード(2015年・2016年)に続き、スパーズ史上4人目のDPOY受賞者となりました。
今回の満場一致は、NBAの主要賞(MVP・新人王・シックスマン賞・最優秀改善賞・DPOY・最優秀コーチ賞)を通じて史上10例目。
レブロン・ジェームズやマイケル・ジョーダンでも果たせなかった記録です。
「これはほんの始まりにすぎない」
チームメートのジャリル・ジョンソンはこう語りました。「彼はこれまで一緒にプレーした中で最も努力を惜しまない選手の一人だ。このDPOYは、ビクターのほんの一部にすぎない」と。
22歳、キャリア初のプレーオフ出場中。ステファン・キャッスル、ディラン・ハーパー、カーター・ブライアントといった若い選手が育つスパーズにとって、ウェンバンヤマの受賞は通過点です。
満場一致の守護者は、今夜もコートに立っています。


















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