アメリカ以外の多くの国の選手が活躍を見せる昨今のNBAですが、ヤニスアデトクンポもその1人で、ギリシャ出身の選手です。
17歳でギリシャのプロリーグデビューを果たしたアデトクンポは、2013年のドラフトにより当時19歳でNBA入団を果たします。
2013年NBAドラフト
アデトクンポは2013年のNBAドラフトで15位指名を受け、ミルウォーキーバックスに入団しました。
今思えばアデトクンポを14チームがスルーしたということになりますが、アメリカでのプレイ経験がない選手が上位に来るというのはそれだけ難しいということでしょう。
因みにこの年、アデトクンポより上位でアメリカでのプレイ経験がない選手はいませんでした。
2013-14シーズン
ルーキーイヤーから77ゲームに出場し、平均24.6分の出場時間を与えられたアデトクンポ。
しかし、現在のように得点は伸びず、平均6.8得点にとどまっています。
それでも下の動画のように、長いリーチを使ったダイナミックなプレイに魅了されたファンはすくなくありません。
現在と比べると信じられないくらい細いです。
練習の虫と言われるヤニスがどれだけ努力を重ねてきたのかよくわかります。
チームは、歴代最低となる15勝67敗でシーズンを終えています。
2014-15シーズン
チームはシーズンオフにオーナーが変わりヘッドコーチにジェイソンキッドを招き入れました。
ドラフトでは2位でジャバリパーカーを獲得し、順調に勝ち星を重ねました。
ジャバリパーカーは怪我により戦線を離脱しますが、アデトクンポは平均得点を2ケタに乗せる活躍を見せチームのプレイオフ進出に貢献しています。
初のプレイオフでは6試合で平均11.5得点を挙げたものの、FG確率は36.6%とレギュラーシーズンの49.1%を大きく下回り、チームもブルズに2-4で敗れシーズンを終えています。
2015-16シーズン
開幕戦は欠場したものの、第2戦からスタメン出場し初戦から27得点の活躍を見せます。
開幕からゴールデンステイトウォリアーズが24連勝を記録していたシーズンですが、止めたのはバックスで、アデトクンポも11得点12リバウンド8アシストの活躍でチームの勝利に貢献しました。
2015-16シーズンでは、平均得点、アシスト、リバウンド、フィールドゴール確率全て過去最高のスタッツとなっています。
しかし、チームは33勝49敗と大きく負け越し、プレイオフに進出することなくシーズンを終えました。
2016-17シーズン
開幕戦から31得点を記録したアデトクンポはその後も得点を重ね、初のオールスターゲームにも出場します。
ダンクをこれでもかというくらい叩き込み、30得点を記録しました。
そのプレイはより安定感を増し、2016-17シーズンも多くのスタッツが過去最高の数字となっています。
得点 | 22.9 |
リバウンド | 8.8 |
アシスト | 5.4 |
FG確率 | 52.1% |
FT確率 | 77.0% |
チームも42勝40敗で勝ち越し、プレイオフに出場しますがラプターズに2-4で敗れファーストラウンド敗退となっています。
アデトクンポ自身は、6試合で平均24.8得点を挙げる活躍を見せFG確率も53.6%と2015年のプレイオフとは大きな違いを見せつけています。
2017-18シーズン
開幕戦から37得点を挙げたアデトクンポは、3試合目のブレイザーズ戦でキャリアハイとなる44得点を叩き出します。
その後も昨シーズン以上の活躍を見せ、チームも勝利を重ねますが、これまでヘッドコーチを務めてきたジェイソンキッドがシーズン途中で解任となります。
アデトクンポも大きな信頼を寄せていたため、解任の前にキッドに「解任しないために自分に何かできることはないか」とコールしたと言われています。
しかし願いは届かず、バックスはアシストタントコーチを2014年から務めたジョープランディがヘッドコーチに就任しました。
オールスターゲームでは、2年連続でスタメン出場を果たしファンからの人気度もスーパースターと呼べる領域であることは間違いないでしょう。
レギュラーシーズン7位で進出したプレイオフファーストラウンドではセルティックスと対戦しました。
第7戦までもつれ込みますがホームコートアドバンテージをもつセルティックスに惜しくも敗れています。
プレイオフでもアデトクンポの存在感は遜色することなく30得点を超えたゲームが3度ありました。
2018-19シーズン
シーズンオフにレブロンジェームズがレイカーズに移籍し、昨シーズンとはパワーバランスが大きく異なったイースタンカンファレンス。
バックスは、開幕7連勝で最高のスタートを切ると、その後も大きく崩れることはなくイースト首位を走り続けました。
昨シーズン以上のスタッツを残すアデトクンポは、オールスターファン投票でもレブロンジェームズに続く2位の票を得て、ドラフト制チームのキャプテンを務めました。
レギュラーシーズンをイースト首位で終え、勝率もリーグ最高を記録したバックス。
2001年以降のプレイオフでは全てファーストラウンド敗退となっていますが、2019プレイオフはカンファレンスファイナル制覇、チャンピオンリング獲得を多くのファンが期待しました。
ファーストラウンドで、ピストンズをスイープし最高のスタートを切ったバックス。
アデトクンポ自身もGame4で41得点を挙げる活躍でチームを引っ張りました。
カンファレンスセミファイナルでは、昨シーズン苦汁をなめたセルティックスとの対戦となりました。
Game1でアデトクンポは、ベテランのホーフォードのディフェンスに苦しみますが、その後はしっかりと対応し本来のプレイでセルティックスディフェンスを突破しました。
結果的にアデトクンポが苦しんだGame1を落としたバックスでしたが、そこからの4連勝でカンファレンスファイナルへコマを進めました。
イースト首位のバックスと、2位ラプターズの対戦となったカンファレンスファイナル。
ホームで開幕から連勝を飾ったバックスでしたが、そこからまさかの4連敗でアデトクンポの2018-19シーズンは幕を閉じました。
平均的に得点を挙げ、ディフェンス面でも活躍を見せたアデトクンポでしたが、ラプターズのレナード以上のゲーム支配力を見せることは出来ませんでした。
プレイオフ終了後におこなわれたNBAアウォードで、アデトクンポはシーズンMVPに選出されました。
異国の地からタフにプレイし続け、得たバスケットボール界世界最高峰の勲章に男泣きを見せる姿は誰もが胸を熱くしたでしょう。
コービーブライアントに課せられた課題を見事クリアしたアデトクンポですが、すぐさまコービーは次の課題を与えていました。
My man….M.V.P. Greatness. 🙌🏾💪🏾 Next up: Championship. #MambaMentality https://t.co/dhZTFI1Aam
— Kobe Bryant (@kobebryant) 2019年6月25日
2019-20シーズン
2019-20シーズンは、アデトクンポ自身もチームもリーグのトップを走るシーズンとなりました。
イースト首位を独走し、アデトクンポも得点・リバウンドのスタッツで上位につけました。
再びキャプテンをつとめたオールスターゲームでも、信じられないようなプレイの連発でファンを沸かせました。
バブルに入った後も好調を続けリーグ最高勝率でプレイオフに進出したバックス。
念願のチャンピオンリング獲得に向け、ファイナルはほぼ確実視されていました。
ファーストラウンドではオーランドマジックを4-1で降しいいスタートを切ります。
しかし、カンファレンスセミファイナルでマイアミヒートのディフェンスにヤニス自身も苦しみ、1-4で敗れてシーズンを終えています。
なんとかヒートディフェンスを突破しようとヤニスはリムにアタックを続けますが、接触により足首を複数回捻挫し、第5戦は出場することが出来ませんでした。
プレイオフは敗れてしまいましたが、その数日後2年連続となるシーズンMVP獲得の発表がありました。
2020-21シーズン
2020-21シーズン開幕を前に、バックスは翌年に契約が切れるアデトクンポを何とか繋ぎ止めるためトレードにより新たな戦力を加えました。
その後アデトクンポは契約延長に合意し、5年MAX契約を結びました。
NBA史上最高規模の契約で、合計228.2Mドル、平均45.6Mドル、5年目には51.9MドルとNBA史上初の年間50Mドルを超える契約となりました。
2020-21シーズンも変わらず、大型契約に見合うようなアンストッパブルな活躍を続けました。
3月におこなわれたオールスターでは、FG確率16/16の100%で35得点を挙げ、コービーブライアントMVPに選出されました。
シーズン3位でプレイオフへ進出したバックス。
ファーストラウンドで昨シーズン苦汁をなめたヒートをスイープで降す好スタートを見せました。
カンファレンスセミファイナルでは、優勝候補筆頭にもあげられたネッツと対戦し、第7戦までもつれこむ激戦を制しカンファレンスファイナルまで駒を進めました。
カンファレンスファイナルでは、シーズン首位のシクサーズを破ったホークスと対戦しました。
ヤニスは第4戦で膝を負傷し、残りのシリーズを欠場しましたが、チームは4-2で勝利しファイナルへコマを進めました。
怪我は幸いひどくなく、ファイナルへの出場は可能となり安堵したファンも多かったです。
自身初となったファイナルでは、サンズに勝ち越すを許すゲームもありましたが、ヤニスの信じられないようなブロックショット1発から完全に流れはバックスに傾き4-2で勝利し初のチャンピオンに輝きました。
また、ヤニスはファイナルMVPに選出されています。
2021-22シーズン
チャンピオンチームとしてむかえた、2021-22シーズン。
シーズン序盤はやや負け星が先行したものの、その後は安定して勝ち星をかさね、イースト3位でプレイオフに進出しました。
ヤニス自身もキャリアハイとなる29.9得点を記録し、フリースローの確率も大きく上昇しました。
ファーストラウンドで順調にブルズを4-1で退けると、カンファレンスセミファイナルでは、イースト2位のセルティックスと対戦しました。
アウェイで2勝するなど追い込みましたが、3-2から連敗し3-4で敗れ連覇の夢は断たれました。
ヤニス自身は、40得点越えが3度、20リバウンド越えが2度あるほど鬼気迫る活躍でしたが、クリスミドルトンの欠場も響きました。
The Greek Freak
ヤニスアデトクンポのニックネームは、The Greek Freakです。
直訳するとギリシャの変わり種というようですが、ヤニスアデトクンポの両親はナイジェリア人であることも関係しています。
アデトクンポ自身もギリシャに住みながら、家庭の中ではナイジェリア文化で育ったようで、黒人であることも関係しています。
アデトクンポのバッシュ
近年はナイキのズームライブやコービーを着用していましたが、ナイキから待望のシグニチャーモデル、ズームフリークが発売されました。
キャリアスタッツ
レギュラーシーズン
シーズン | 年齢 | チーム | 出場試合 | 出場時間 | 得点 | リバウンド | アシスト | FG確率 | 3PT確率 | FT確率 | スティール | ブロック | TO |
13-14 | 19 | MIL | 77 | 24.6 | 6.8 | 4.4 | 1.9 | 41.4 | 34.7 | 68.3 | 0.8 | 0.8 | 1.6 |
14-15 | 20 | MIL | 81 | 31.4 | 12.7 | 6.7 | 2.6 | 49.1 | 15.9 | 74.1 | 0.9 | 1.0 | 2.1 |
15-16 | 21 | MIL | 80 | 35.3 | 16.9 | 7.7 | 4.3 | 50.6 | 25.7 | 72.4 | 1.2 | 1.4 | 2.6 |
16-17 | 22 | MIL | 80 | 35.6 | 22.9 | 8.8 | 5.4 | 52.1 | 27.2 | 77.0 | 1.6 | 1.9 | 2.9 |
17-18 | 23 | MIL | 75 | 36.7 | 26.9 | 10.0 | 4.8 | 52.9 | 30.7 | 76.0 | 1.5 | 1.4 | 3.0 |
18-19 | 24 | MIL | 72 | 32.8 | 27.7 | 12.5 | 5.9 | 57.8 | 25.6 | 72.9 | 1.3 | 1.5 | 3.7 |
19-20 | 25 | MIL | 63 | 30.4 | 29.5 | 13.6 | 5.6 | 55.3 | 30.4 | 63.3 | 1.0 | 1.0 | 3.7 |
20-21 | 26 | MIL | 61 | 33.0 | 28.1 | 11.0 | 5.9 | 56.9 | 30.3 | 68.5 | 1.2 | 1.2 | 3.4 |
21-22 | 27 | MIL | 67 | 32.9 | 29.9 | 11.6 | 5.8 | 55.3 | 29.3 | 72.2 | 1.1 | 1.4 | 3.3 |
プレイオフ
シーズン | 年齢 | チーム | 出場試合 | 出場時間 | 得点 | リバウンド | アシスト | FG確率 | 3PT確率 | FT確率 | スティール | ブロック | TO |
14-15 | 20 | MIL | 6 | 33.5 | 11.5 | 7.0 | 2.7 | 36.6 | 0.0 | 73.9 | 0.5 | 1.5 | 1.8 |
16-17 | 22 | MIL | 6 | 40.5 | 24.8 | 9.5 | 4.0 | 53.6 | 40.0 | 54.3 | 2.2 | 1.7 | 3.3 |
17-18 | 23 | MIL | 7 | 40.0 | 25.7 | 9.6 | 6.3 | 57.0 | 28.6 | 69.1 | 1.4 | 0.9 | 2.4 |
18-19 | 24 | MIL | 15 | 34.3 | 25.5 | 12.3 | 4.9 | 49.2 | 32.7 | 63.7 | 1.1 | 2.0 | 3.3 |
19-20 | 25 | MIL | 9 | 30.8 | 26.7 | 13.8 | 5.7 | 55.9 | 32.5 | 58.0 | 0.7 | 0.9 | 3.3 |
20-21 | 26 | MIL | 21 | 38.1 | 30.2 | 12.8 | 5.1 | 56.9 | 18.6 | 58.7 | 1.0 | 1.2 | 3.0 |
21-22 | 27 | MIL | 12 | 37.3 | 31.7 | 14.2 | 6.8 | 49.1 | 22.0 | 67.9 | 0.7 | 1.3 | 4.5 |
年齢 | 28歳 |
身長 | 211cm |
体重 | 110kg |
国籍 | ギリシャ |
ドラフト | 2013年 15位 |
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