ブルックリンネッツでプレイするケビンデュラント。
類稀なシュートセンスに加え、208cmという身長ながらそのシュートレンジ、シュート力、スピードはこれまでのNBAの中でも比較する相手が見当たらないほど異質と言えるNBA屈指のスコアラーです。
生粋のスモールフォワード
バスケットにおいて最も攻撃的なポジションといえば本来スモールフォワードです。
しかし、NBAに限らず日本のバスケットであっても得点を量産するのはセカンドガードやセンタープレイヤーが多く、そればかりか生粋のスモールフォワードといえるプレイヤーが少ないのは事実です。
日本バスケットのモデルでいえばスラムダンクの流川楓が最もわかりやすいですが、サイズがあってシュートレンジも広く、ドリブルもつけてインサイドでも負けない高さ、強さを必要とされるポジションであり実際にそんなプレイヤーが数多く存在しないのもうなずけます。
そんなスモールフォワードのモデルにピッタリといえるケビンデュラントのプレイは、アウトサイドプレイの比が多いのは事実ですが、長身を活かしたドライブに加えてビッグプレイヤーとのディフェンスでのマッチアップなどその存在感は多岐にわたっています。
あの身長と腕の長さであれだけクロスオーバーなどガードがするようなドリブルをついているのは見慣れてないせいか違和感を感じるほどです。
デュラントのキャリア
NBAへ入団した年からシーズン平均20得点以上をマークしているデュラント。
30得点を超えているシーズンもあり、これまでに得点王を4回獲得していて念願のシーズンMVPにも2014年に輝きました。
NBAの中で4回の得点王という時点でその凄さを改めて感じますが、話題となったレブロンジェームスとのワークアウトなど常に上を見続けている姿勢も素晴らしいです。
プレイ以外にもファンのバスケットモデルとなるべく存在といえます。(ウォリアーズへ移籍後の話は少しおいといて)
サンダー時代のプレイオフではチームとしてファイナル進出を果たしたこともありますが、チームをチャンピオンに導くことは出来ませんでした。
その後、2014プレイオフのファーストラウンドでは苦戦を強いられたサンダーに対し、米メディアがデュラントを「頼りにならない男」として報道したのは記憶に新しいところです。
もちろん、数回にわたる得点王やMVPという結果があっての期待の裏返しではありますが、ファンからすると残念なのは間違いありません。
レブロンとこんなにやりあえるプレイヤーはNBAでもほとんどいないですからね・・・精細を欠いたプレイや弱気なプレイに批判が出るのも致し方ないでしょう。
それほどの期待を背負った選手です。
ウォリアーズへの移籍
その後ケビンデュラントは、サンダーでファイナルへ進出することはなく2016-17シーズン前にウェストで圧倒的な強さを誇るウォリアーズに電撃移籍を表明します。
ネット上では様々な意見が飛び交いましたが、明らかに否定的なコメントが多かったのが印象的です。
文中にバスケットモデルとなるべく選手と記していますが、勝てないなら強いチームに入るという行動に批判が出たのも無理はないでしょう。
しかし、デュラントはそんな批判を吹き飛ばすかのようにウォリアーズでも活躍を続けます。
カリー、トンプソン、グリーン、イグダラなどオフェンス力のある選手の中でもそのプレイは輝きを見せました。
スプラッシュブラザーズだけでも正直とんでもない破壊力ですが、そこにKD・・・ウォリアーズファン以外が卑怯と罵るのも致し方ないのかもしれません。
2017プレイオフでは、ファイナルまで全てのゲームをスイープし宿敵キャブスを待ち受けました。
ファイナルでもウォリアーズの強さは常軌を逸していて、キャブス相手に4-1で圧倒しデュラントは念願のチャンピオンリングと共にファイナルMVPを獲得します。
連覇とファイナルMVP
2017-18シーズンはデュラントを始めウォリアーズはケガに苦しめられました。
レギュラーシーズンではロケッツに首位を明け渡し、カンファレンスファイナル前の予想は5分5分といったところでした。
それでもウォリアーズはロケッツを4-3で退けファイナルへ進出します。
デュラント自身もアウトサイドを中心にドライブなど研ぎ澄まされたシュートを何本も沈めていました。
キャブスとの再戦となったファイナルでもウォリアーズの強さは変わらず、スイープで勝利し連覇を成し遂げるとともにデュラントは2年連続のファイナルMVPに輝いています。
Game3では勝利を決定付けるクラッチシュートを沈め、死神と比喩されたほどでした。
2018-19シーズン
連覇を成し遂げたウォリアーズに、スリーピートの期待が高まるのは必然でした。
シーズン序盤はケガ人も多く、負け星が重みますが、主要メンバーが戻ってくるとその強さはやはり群を抜いていて、徐々に勝率を高め結果的にウェスト首位でプレイオフに進出します。
デュラント自身もさらに磨きがかかったようなスコアリングで、プレイオフ開幕前の海外賭けサイトの優勝予想が1.44倍とその強さを世界中が認める程でした。
プレイオフ
プレイオフファーストラウンドで、ロサンゼルスクリッパーズと対戦したウォリアーズ。
30点以上の差をひっくり返されるなど波乱もありましたが、好守を続けたパトリックべバリー相手にデュラントは鬼神のごとく得点を重ねました。
シリーズ後の会見で、パトリックべバリーに対し記者が
「デュラントを守るためにもっとやれることはなかったか?」
と質問を出しましたが、べバリーが
「相手はあのケビンデュラントなんだ。あれ以上やれることはない」
とコメントするほどでした。
カンファレンスセミファイナルでは、宿敵ヒューストンロケッツと早くも対戦となりました。
お互いに譲らず、シリーズを2-2で迎えたGame5で事件はおきます。
第3クォーター終盤に接触のない中、足に痛みを訴えたデュラント。
ふくらはぎの肉離れと診断され、その後のプレイオフ出場が不安視されました。
デュラント不在の中、ウォリアーズはロケッツに連勝しカンファレンスファイナル進出を決めます。
カンファレンスファイナルにもデュラントは出場することが出来ませんでしたが、ウォリアーズはブレイザーズをスイープで降し、5年連続となるファイナル進出を決めます。
その強さにデュラント不要論のようなものが出たこともありますが、世界中で本気でそう思っていたファンはごく僅かでしょう。
ファイナルに入っても出場が見送られるデュラント。
球団初のチャンピオンリング獲得を狙うラプターズに、ウォリアーズは1-3と崖っぷちに立たされます。
その結果が左右したのかは定かではありませんが、Game5にデュラントはスターターとして出場しました。
約1か月ぶりとなるゲームでしたが、久しぶりに見るデュラントの加わったウォリアーズの強さを目の当たりにしたという感想が世界中の大多数でしょう。
デュラント自身も3/3でスリーポイントを沈めるなど、好調でしたが第2クォーター序盤に再び事件は起きました。
右足に一人で歩けないほど痛みを訴えたデュラント。
信じたくはありませんが、検査の結果アキレス腱断裂という報道が世界中に激震を与えました。
スリーピートに加え、シーズン終了後にはFAとなり移籍の可能性がある中、2019-20シーズンは全休が濃厚となりました。
手術は成功し、長いリハビリとトレーニングが待ち受けますが、これまでの困難同様に乗り越えまた死神のようなクラッチシュートが見れる日を世界中のファンが待ちわびました。
ネッツへの移籍
ファイナルでのアキレス腱断裂により、FAにも影響が出ると思われましたが、FAが解禁になったその日に、ケビンデュラントがネッツへ移籍するという報道がありました。
ディアンジェロラッセルは、ウォリアーズに移籍すことになりましたが、セルティックスのカイリ―アービングもネッツに加入します。
1シーズンをリハビリ期間にあてたケビンデュラント。
2020-21シーズンは、開幕直後から超強力なDUOが躍動しました。
また、開幕から数試合消化した頃、ロケッツからジェームズハーデンも獲得しNBAの歴史の中でも超強力なBIG3を形成しました。
しかし、ネッツは怪我に苦しみビッグ3が揃って出場した試合は10試合以下にとどまりました。
それでもネッツはイースト2位でプレイオフへ進むと、ファーストラウンドでボストンセルティックスと対戦しました。
デュラントは、Game3で39得点、Game4で42得点を挙げるなど好調な姿を見せ、4-1でカンファレンスセミファイナルへコマを進めました。
カンファレンスセミファイナルでバックスと対戦したネッツ。
Game1でハーデンが負傷し、Game4にはアービングも足首の捻挫でシリーズアウトとなりました。
2勝2敗で迎えたGame5でデュラントは、48分のフル出場で49得点を挙げチームを勝利に導きました。
Game6に敗れ、運命のGame7はオーバータイムにもつれ込む中、またもフル出場で53分プレイし、48得点を挙げましたが、惜しくも4点差で敗れシーズンを終えています。
オーバータイムへ突入する同点弾は、僅かにラインを踏んでおり、デュラントの足の大きさも話題となりました。
2021-22シーズン
2021-22シーズンもネッツでプレイしたデュラント。
シーズン途中にジェームズハーデンがシクサーズへ移籍し、ビッグ3の本来の姿をほとんど見ることなく、チームは解体しました。
デュラントもシーズン途中に怪我で欠場が続き、55試合の出場にとどまると、チームはなんとかプレイイントーナメントに勝利しプレイオフ進出を決めました。
しかし、上位のセルティックスとの対戦となったファーストラウンドではスイープで敗れシーズンを終えています。
デュラント自身は、シーズン平均で29.9得点を挙げ、オールスターのキャプテンをつとめるなど、変わらずリーグの主軸として注目を集め、相応しい活躍を続けました。
2022-23シーズン
シーズン序盤2ケタ連勝を記録するなどイースト上位につけたネッツ。
しかし、オールスター前にアービングの移籍が決まると、デュラントもサンズへの移籍が決まり、デビンブッカー、クリスポールと新たなビッグ3でチャンピオンリングを狙うことになりました。
ケビンデュラントのバッシュ
ケビンデュラントは、ナイキからシグニチャーモデルもKDシリーズが発売されています。
キャリスタッツ
レギュラーシーズン
シーズン | 年齢 | チーム | 出場試合 | 出場時間 | 得点 | リバウンド | アシスト | FG確率 | 3PT確率 | FT確率 | スティール | ブロック | TO |
07-08 | 19 | SEA | 80 | 34.6 | 20.3 | 4.4 | 2.4 | 43.0 | 28.8 | 87.3 | 1.0 | 0.9 | 2.9 |
08-09 | 20 | OKC | 74 | 39.0 | 25.3 | 6.5 | 2.8 | 47.6 | 42.2 | 86.3 | 1.3 | 0.7 | 3.0 |
09-10 | 21 | OKC | 82 | 39.5 | 30.1 | 7.6 | 2.8 | 47.6 | 36.5 | 90.0 | 1.4 | 1.0 | 3.3 |
10-11 | 22 | OKC | 78 | 38.9 | 27.7 | 6.8 | 2.7 | 46.2 | 35.0 | 88.0 | 1.1 | 1.0 | 2.8 |
11-12 | 23 | OKC | 66 | 38.6 | 28.0 | 8.0 | 3.5 | 49.6 | 38.7 | 86.0 | 1.3 | 1.2 | 2.8 |
12-13 | 24 | OKC | 81 | 38.5 | 28.1 | 7.9 | 4.6 | 51.0 | 41.6 | 90.5 | 1.4 | 1.3 | 3.5 |
13-14 | 25 | OKC | 81 | 38.5 | 32.0 | 7.4 | 5.5 | 50.3 | 39.1 | 87.3 | 1.3 | 0.7 | 3.5 |
14-15 | 26 | OKC | 27 | 33.8 | 25.4 | 6.6 | 4.1 | 51.0 | 40.3 | 85.4 | 0.9 | 0.9 | 2.7 |
15-16 | 27 | OKC | 72 | 35.8 | 28.2 | 8.2 | 5.0 | 50.5 | 38.7 | 89.8 | 1.0 | 1.2 | 3.5 |
16-17 | 28 | GSW | 62 | 33.4 | 25.1 | 8.3 | 4.8 | 53.7 | 37.5 | 87.5 | 1.1 | 1.3 | 2.2 |
17-18 | 29 | GSW | 68 | 34.2 | 26.4 | 6.8 | 5.4 | 51.6 | 41.9 | 88.9 | 0.7 | 1.8 | 3.0 |
18-19 | 30 | GSW | 78 | 34.6 | 26.0 | 6.4 | 5.9 | 52.1 | 35.3 | 88.5 | 0.7 | 1.1 | 2.9 |
19-20 | 31 | BRK | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
20-21 | 32 | BRK | 35 | 33.1 | 26.9 | 7.1 | 5.6 | 53.7 | 45.0 | 88.2 | 0.7 | 1.3 | 3.4 |
21-22 | 33 | BRK | 55 | 37.2 | 29.9 | 7.4 | 6.4 | 51.8 | 38.3 | 91.0 | 0.9 | 0.9 | 3.5 |
プレイオフ
シーズン | 年齢 | チーム | 出場試合 | 出場時間 | 得点 | リバウンド | アシスト | FG確率 | 3PT確率 | FT確率 | スティール | ブロック | TO |
09-10 | 21 | OKC | 6 | 38.5 | 25.0 | 7.7 | 2.3 | 35.0 | 28.6 | 87.1 | 0.5 | 1.3 | 3.7 |
10-11 | 22 | OKC | 17 | 42.5 | 28.6 | 8.2 | 2.8 | 44.9 | 33.9 | 83.8 | 0.9 | 1.1 | 2.5 |
11-12 | 23 | OKC | 20 | 41.9 | 28.5 | 7.4 | 3.7 | 51.7 | 37.3 | 86.4 | 1.5 | 1.2 | 3.2 |
12-13 | 24 | OKC | 11 | 44.1 | 30.8 | 9.0 | 6.3 | 45.5 | 31.4 | 83.0 | 1.3 | 1.1 | 3.9 |
13-14 | 25 | OKC | 19 | 42.9 | 29.6 | 8.9 | 3.9 | 46.0 | 34.4 | 81.0 | 1.0 | 1.3 | 3.8 |
15-16 | 27 | OKC | 18 | 40.3 | 28.4 | 7.1 | 3.3 | 43.0 | 28.2 | 89.0 | 1.0 | 1.0 | 3.6 |
16-17 | 28 | GSW | 15 | 35.5 | 28.5 | 7.9 | 4.3 | 55.6 | 44.2 | 89.3 | 0.8 | 1.3 | 2.5 |
17-18 | 29 | GSW | 21 | 38.4 | 29.0 | 7.8 | 4.7 | 48.7 | 34.1 | 90.1 | 0.7 | 1.2 | 2.4 |
18-19 | 30 | GSW | 12 | 36.8 | 32.3 | 4.9 | 4.5 | 51.4 | 43.8 | 90.3 | 1.1 | 1.0 | 3.6 |
20-21 | 32 | BRK | 12 | 40.4 | 34.3 | 9.3 | 4.4 | 51.4 | 40.2 | 87.1 | 1.5 | 1.6 | 3.5 |
21-22 | 33 | BRK | 4 | 44.0 | 26.3 | 5.8 | 6.3 | 38.6 | 33.3 | 89.5 | 1.0 | 0.3 | 5.3 |
年齢 | 34歳 |
身長 | 208cm |
体重 | 107kg |
国籍 | アメリカ |
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