オーランド・マジックは、NBAの東部カンファレンス・サウスイースト・ディビジョンに所属するプロバスケットボールチームです。
1989年に拡張フランチャイズとして設立されて以来、2度のNBAファイナル進出を果たすなど、華やかな歴史を築いてきました。
シャキール・オニールやドワイト・ハワードといったスーパースターを輩出し、現在は若手中心のチームとして復活の兆しを見せています。
本記事では、マジックの歴史を振り返り、主な所属選手を紹介します。
設立と初期の苦闘(1989-1992)
オーランド・マジックは、1989年にNBAの拡張チームとして誕生しました。
創設者はジム・L・ヒューイットとパット・ウィリアムズで、拡張料3250万ドルを支払い、シャーロット・ホーネッツ、マイアミ・ヒート、ミネソタ・ティンバーウルブズとともに新チームとして加わりました。
チーム名は地元紙のコンテストで選ばれ、ウォルト・ディズニー・ワールドの「魔法」のイメージを反映しています。
ホームアリーナはオーランド・アリーナ(後のアムウェイ・アリーナ、現キア・センター)です。
初シーズン(1989-90)は18勝64敗と苦戦し、プレーオフ進出を逃しました。
最初のドラフトピックであるニック・アンダーソンがチームの顔となり、10年にわたり得点源として活躍しました。
1990年のドラフトでデニス・スコットを迎え入れ、彼はルーキーとして125本のスリーポイントを記録し、オールルーキー・ファーストチームに選出されました。
スコット・スカイルズはMIPを受賞し、1試合30アシストの記録を樹立しました。
しかし、1991-92シーズンは負傷者が続出し、21勝61敗と低迷。
17連敗のフランチャイズワーストを記録しましたが、ホームゲームは常に完売する人気を博しました。
シャキール・オニールとペニー・ハーダウェイの黄金時代(1992-1996)
1992年のドラフトで全体1位指名のシャキール・オニールを獲得したマジックは、急速に強豪チームへ変貌しました。
オニールはルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、オールスターに選出。
1992-93シーズンは41勝41敗と勝率5割を達成しました。
1993年のドラフトロッタリーで再び1位を獲得し、クリス・ウェバーをトレードでペニー・ハーダウェイに交換。
このデュオはチームを牽引し、1993-94シーズンに50勝32敗で初のプレーオフ進出を果たしましたが、インディアナ・ペイサーズに0-3で敗れました。
1994年にホーレス・グラントを獲得した1994-95シーズンは57勝25敗でアトランティック・ディビジョンを制覇。
プレーオフでは東カンファレンス決勝でシカゴ・ブルズを破り、NBAファイナルに進出しましたが、ヒューストン・ロケッツに0-4で敗れました。
続く1995-96シーズンは60勝22敗の好成績を収め、東カンファレンス決勝まで進みましたが、再びブルズに0-4で敗北。
この時代はマジックの歴史で最も輝かしい時期として記憶されています。
トレイシー・マグレディの時代と低迷の始まり(1996-2004)
オニールが1996年にロサンゼルス・レイカーズへ移籍した後、ハーダウェイの負傷が続き、チームは苦境に陥りました。
1996-97シーズンは45勝37敗でプレーオフに進出しましたが、マイアミ・ヒートに敗れました。
1998-99のロックアウト短縮シーズンでは33勝17敗と好調で、東カンファレンス首位タイを記録。
ダレル・アームストロングがシックスマン賞とMIPをダブル受賞しました。
2000年にフリーエージェントでグラント・ヒルとトレイシー・マグレディを獲得しましたが、ヒルの負傷で期待外れの結果に。
マグレディは2000-04にかけて得点王となり、オールNBAチームに選出されましたが、チームはプレーオフ早期敗退が続きました。
2002-03シーズンには42勝40敗でプレーオフに進出し、デトロイト・ピストンズ相手に3-1リードから逆転負け。
2003-04は21勝61敗の惨敗で、19連敗を喫しました。
ドワイト・ハワードの時代とファイナル再挑戦(2004-2012)
2004年のドラフトで全体1位のドワイト・ハワードを指名し、再建を開始。
ハワードはオールルーキーチーム入りし、チームの中心に成長しました。
2007年にスタン・ヴァンガンディをヘッドコーチに迎え、ラシャード・ルイスを獲得。
2007-08シーズンは52勝30敗でサウスイースト・ディビジョン優勝、プレーオフでトロント・ラプターズを4-1で下しましたが、ピストンズに敗れました。
2008-09シーズンは59勝23敗でプレーオフを勝ち上がり、NBAファイナル進出。
ロサンゼルス・レイカーズに1-4で敗れましたが、ハワードの活躍が光りました。
2009-10も59勝23敗でカンファレンス決勝まで進みましたが、ボストン・セルティックスに敗北。
2010-11は52勝でプレーオフ進出しましたが、早期敗退。
ハワードのトレード要求騒動(ドワイトメア)で2012年にレイカーズへ移籍し、時代が終わりました。
リビルド期と低迷の克服(2012-2021)
ハワード離脱後、ロブ・ヘニガンGMのもとでリビルドを開始。
2012-13は20勝62敗、2013-14は23勝59敗と低迷しました。
2013年にヴィクター・オラディポ、2014年にアーロン・ゴードン、エルフリッド・ペイトンをドラフト。
2016年にサージ・イバカを獲得しましたが、29勝53敗に終わりました。
2017年にジェフ・ウェルトマンがGMに就任し、ジョナサン・アイザック(2017)、モハメド・バンバ(2018)を指名。
2018年にスティーブ・クリフォードをヘッドコーチに迎え、2018-19シーズンに42勝40敗でディビジョン優勝、プレーオフ進出しましたが、ラプターズに敗れました。
2019-20はCOVID-19中断後のバブルでプレーオフに滑り込みましたが、早期敗退。
2021年にニコラ・ヴチェヴィッチ、ゴードン、エヴァン・フルニエをトレードし、本格リビルドへ移行。
ジャマール・モズリーをヘッドコーチに迎えました。
パオロ・バンケロの新時代と復活(2022-)
2022年のドラフトで全体1位のパオロ・バンケロを指名し、新時代が始まりました。
バンチェロはルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞。2021年に指名したフランツ・ワグナー、ジャレン・サッグスとともに若手コアを形成。
2022-23は34勝48敗でしたが、2023-24は47勝35敗で東5位、プレーオフ1回戦でクリーブランド・キャバリアーズに3-4で敗れました。
バンケロはオールスター選出、サッグスはオールディフェンシブチーム入り。
2024-25シーズンは41勝41敗でディビジョン首位タイでしたが、プレーオフでボストン・セルティックスに1-4で敗北。
バンケロはシーズン中に斜腹筋断裂の負傷を負いました。
2025-26シーズンのロスターでは、バンケロ、ワグナー、サッグス、ウェンデル・カーターJr.、アイザックが中心。
デズモンド・ベイン、タイウス・ジョーンズ、トリスタン・ダ・シルバ、ゴガ・ビタゼなどの新加入選手が加わり、さらなる成長が期待されます。
マジックは17回のプレーオフ進出、2回のファイナル進出、8回のディビジョン優勝を誇りますが、優勝は未経験です。
主な所属選手の紹介
マジックの歴史を彩った選手たちを紹介します。
シャキール・オニール(1992-1996)
チーム初のスーパースター。
ルーキー・オブ・ザ・イヤー、オールスター選出。1995年のファイナル進出に貢献しました。
ペニー・ハーダウェイ(1993-1999)
オニールとのデュオで黄金期を築き、複数回のオールスター。
負傷でキャリアが短縮。
トレイシー・マグレディ(2000-2004)
得点王(28.0-32.1 PPG)、オールNBAチーム。
プレーオフでの活躍が光る。
ドワイト・ハワード(2004-2012)
フランチャイズ歴代得点・リバウンド・ブロック王。
2009年のファイナル進出をリードし、オールスター複数回。
ニック・アンダーソン(1989-1999)
初ドラフトピックで10年得点源。
ホーレス・グラント(1994-1999、2001-2003)
1995年ファイナルで貢献。
ヘド・ターコグル(2004-2009、2010-2013)
2008年MIP、2009年ファイナルで活躍。
ラシャード・ルイス(2007-2010)
高額契約で加入、2009年ファイナルに寄与。
ジャミア・ネルソン(2004-2014)
2009年オールスター、長期PG。
ニコラ・ヴチェヴィッチ(2012-2021)
2019年オールスター、得点源。
アーロン・ゴードン(2014-2021)
ダンクコンテストで活躍、リビルド期の中心。
現在のキー選手
- パオロ・バンケロ(2022-):2023年ルーキー・オブ・ザ・イヤー、2024年オールスター。チームのスコアリングリーダー。
- フランツ・ワグナー(2021-):高額延長契約、得点とディフェンスで貢献。
- ジャレン・サッグス(2021-):2024年オールディフェンシブ、ガードの要。
- ウェンデル・カーターJr.(2021-):センターとして安定。
- ジョナサン・アイザック(2017-):ディフェンシブスペシャリスト。
- デズモンド・ベイン:シューティングガードとして攻撃を強化。
最後に
オーランド・マジックは、設立から35年で数々のスターを輩出し、ファンに感動を与えてきました。
将来的な優勝を目指し、若手中心のチームビルドが続いています。



















コメント