ゴールデンステイト・ウォリアーズ(Golden State Warriors)は、カリフォルニア州サンフランシスコを拠点とする、NBA史上最も成功し、かつ革新的な影響を世界に与えたチームの一つです。
1946年の創設以来、東海岸から西海岸へと本拠地を移しながら、リーグ最多タイとなるタイトル獲得や、バスケットボールの戦術を根底から覆す「3ポイントシュート革命」を成し遂げてきました。
本記事では、フィラデルフィアでの黎明期から、2010年代の黄金王朝、そしてクレイ・トンプソンの離脱を経て新たな章へと進む現在(2026年)に至るまでの歴史と、その伝説を彩った主な所属選手について詳しく解説します。
フィラデルフィアでの誕生と怪物チェンバレン
ウォリアーズの歴史は、1946年にペンシルベニア州で「フィラデルフィア・ウォリアーズ」として始まりました。
NBAの前身であるBAA(Basketball Association of America)の初代チャンピオンに輝いたのがこのチームであり、最初期からリーグを牽引する存在でした。
この時代の象徴と言えるのが、1959年に加入したウィルト・チェンバレンです。
彼は1962年の試合で「1試合100得点」という、今後も破られることがないであろう不滅の記録を樹立しました。
チェンバレンという圧倒的な個人の力により、ウォリアーズは全米にその名を轟かせ、1962年には西海岸のサンフランシスコへと移転し、新たな歴史を歩み始めました。
ゴールデンステイトへの改称と1975年の栄冠
1971年、チームは現在の名称である「ゴールデンステイト・ウォリアーズ」へと改称しました。
特定の都市名ではなく州全体を象徴する名前となったこの時期、チームを牽引したのは「アンダーハンドのフリースロー」で知られる伝説的フォワード、リック・バリーでした。
1975年、下馬評が決して高くなかったウォリアーズは、バリーを中心に驚異的なチームプレーを見せ、NBAファイナルでワシントン・ブレッツを4タテ(スイープ)で下して優勝を飾ります。
この勝利は「NBA史上最大級の番狂わせ」の一つとして記憶されており、スター選手と献身的なロールプレーヤーが噛み合った、ウォリアーズ流の「全員バスケ」の原点ともなりました。
「Run TMC」と「We Believe」:記憶に残る魅惑の時代
1980年代後半から90年代にかけて、ウォリアーズは優勝こそなかったものの、ファンを熱狂させるプレースタイルを確立しました。
クリス・マリン、ティム・ハーダウェイ、ミッチ・リッチモンドの3人による超攻撃的ユニット「Run TMC」は、当時のリーグで最もハイペースかつ華やかなオフェンスを展開し、現代のラン&ガンスタイルの先駆けとなりました。
また、2007年には第8シードながら第1シードのダラス・マーベリックスをプレーオフ1回戦で破る「We Believe」旋風を巻き起こしました。
バロン・デイビスを中心としたこのチームは、サンフランシスコ・ベイエリアのファンの熱狂を呼び覚まし、後の王朝構築に向けた土壌を作りました。
ステフィン・カリーと「王朝」の構築
2009年、ステフィン・カリーの指名がすべてを塗り替えました。
2014年にスティーブ・カーがヘッドコーチに就任すると、カリーとクレイ・トンプソンの「スプラッシュ・ブラザーズ」を中心とした、3ポイントシュートを多用する革新的なシステムを導入。
2015年には40年ぶりの優勝を果たしました。
その後、2016年にはシーズン最多勝利記録となる「73勝9敗」を達成。
さらにケビン・デュラントが加入したことで、チームは「史上最強の軍団」となり、2017年、2018年と連覇を成し遂げます。
2022年には、主力の負傷などによる低迷期を乗り越え、カリー、トンプソン、ドレイモンド・グリーンのコアメンバーで4度目の制覇を達成。
この一連の成功は「ウォリアーズ王朝」と呼ばれ、NBAの戦い方そのものを変えてしまいました。
現在(2026年):ポスト・クレイ時代の新たな挑戦
2024年の夏、王朝を共に築いたクレイ・トンプソンがダラス・マーベリックスへ移籍するという、フランチャイズ史上最大の転換点を迎えました。
現在(2026年)、チームはカリーとグリーンのベテラン勢を軸に、次世代を担う若手との融合を図る過渡期にあります。
2025年にトレードで加入したジミー・バトラー(現在は負傷離脱中)や、老練なセンターのアル・ホーフォード、そして急成長を遂げたブランディン・ポジェムスキーやジョナサン・クミンガといった若手が、カリーを支える新たな布陣を形成しています。
本拠地チェイス・センターには、王朝の余韻を残しつつも、再び頂点を目指す「Strength in Numbers(数の力)」の精神が今なお息づいています。
主な歴代・現役所属選手プロフィール
ステフィン・カリー(Stephen Curry)
在籍期間: 2009–
実績: MVP2回、ファイナルMVP1回、4度の優勝、通算3ポイント成功数NBA記録
特徴: 史上最高のシューター。
ハーフコート付近からでも決めるシュート力で、現代NBAの戦術を「外角重視」へ変えた革命児です。
ウィルト・チェンバレン(Wilt Chamberlain)
在籍期間: 1959–1965
実績: 1試合100得点、シーズン平均50.4得点、永久欠番13
特徴: 身体能力の化身。
当時のゴール下を支配し、数々の不滅の記録を打ち立てた「元祖スーパースター」です。
リック・バリー(Rick Barry)
在籍期間: 1965–1967, 1972–1978
実績: 1975年ファイナルMVP、永久欠番24
特徴: 圧倒的なスコアラーであり、アンダーハンド(下手投げ)での驚異的なフリースロー成功率でも知られるレジェンドです。
クレイ・トンプソン(Klay Thompson)
在籍期間: 2011–2024
実績: 4度の優勝、1試合14本の3ポイント成功(NBA記録)
特徴: カリーの相棒として王朝を支えた「スプラッシュ・ブラザーズ」の片割れ。
爆発的な得点力と堅実な守備を兼ね備えた史上屈指のSGです。
ドレイモンド・グリーン(Draymond Green)
在籍期間: 2012–
実績: 最優秀守備選手賞(DPOY)、4度の優勝
特徴: チームの「心臓部」。スタッツに現れない献身的なプレー、高いバスケットIQ、そして熱い魂でチームを鼓舞し続けるリーダーです。
クリス・マリン(Chris Mullin)
在籍期間: 1985–1997, 2000–2001
実績: 5年連続オールスター選出、ドリームチームメンバー、永久欠番17
特徴: 「Run TMC」の主軸。
精密機械のようなシュート技術を誇り、低迷期のウォリアーズを支えた左利きの名手です。
最後に
ゴールデンステイト・ウォリアーズの歴史は、常に「現状を打破し、新しい時代を作る」という挑戦の歴史でもありました。
かつてはチェンバレンが力で、バリーが知略で、そしてカリーがシュートでリーグを震撼させました。
長年チームを支えたトンプソンとの別れはファンに深い感傷を与えましたが、カリーがコートに立ち続ける限り、彼らの物語はまだ終わりません。
サンフランシスコの夜空に輝く「青と黄金」の旗は、次なる栄光の瞬間を待ちわびています。
























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