世界最高峰のバスケットボールリーグNBAにおいて、日本のファンだけでなく現地のファンからも熱い視線を浴び続けているのが八村塁選手です。
かつて「日本人がNBAでドラフト1巡目指名を受ける」という出来事は、夢物語のように語られていました。
しかし、彼はその壁を力強く突き破り、今や強豪ロサンゼルス・レイカーズにおいて欠かせない「勝利のピース」へと進化を遂げています。
恵まれた体格、精密なシュート技術、そして過酷な環境に耐えうる精神力。
2019年のデビューから今日に至るまで、彼が歩んできた道はまさに日本バスケットボール界の「開拓の歴史」そのものです。
運命の2019年ドラフト:日本人初の快挙
八村選手のキャリアを語る上で、2019年6月20日は永遠に記憶されるべき日です。
名門ゴンザガ大学でエースとして活躍した彼は、NBAドラフトにおいてワシントン・ウィザーズから全体9位指名を受けました。
1巡目、しかもシングル指名(10位以内)という事実は、日本のスポーツ界全体を震撼させる大ニュースとなりました。
指名後のインタビューで見せた誇らしげな表情と、「皆さん、やりました!」という日本語でのメッセージは、多くの少年の心に火をつけました。
デビュー直後から先発の座を掴んだ彼は、開幕戦でいきなりダブル・ダブル(得点とリバウンドの両方で2桁)に近い数字を残し、その実力が「本物」であることを証明しました。
ウィザーズでの葛藤と成長
ワシントン・ウィザーズでの3年半は、彼にとって飛躍と試練が入り混じった時間でした。
- ルーキーイヤーの躍動: 平均13.5得点、6.1リバウンドを記録し、オールルーキー・セカンドチームに選出。
- プレーオフへの挑戦: 2021年には自身初のプレーオフに出場。強豪フィラデルフィア・セブンティシクサーズを相手に、物怖じしない姿勢で得点を量産しました。
- メンタル面での休息: 一時期、パーソナルな理由でチームを離脱した時期もありましたが、この経験が彼を精神的に一回り大きくさせました。
自分自身のコンディションと向き合い、再びコートに戻ってきた時の彼は、よりプロフェッショナルな輝きを放っていました。
ウィザーズでは、スーパースターであるブラッドリー・ビールやラッセル・ウエストブルックらとプレーし、トップレベルの勝負哲学を吸収していきました。
ターニングポイント:名門ロサンゼルス・レイカーズへの移籍
2023年1月、八村選手のキャリアにおける最大の転換点が訪れます。
トレードによって、NBA史上最も成功した球団の一つであるロサンゼルス・レイカーズへの移籍が決まったのです。
この移籍は、彼を単なる「期待の若手」から「優勝を狙うチームの重要戦力」へと押し上げました。
当初は適応に時間がかかるという声もありましたが、2023年のプレーオフで彼はその懐疑的な声を一掃します。
- 「ルイハチムラ」旋風: メンフィス・グリズリーズとのシリーズ第1戦で、ベンチ出場ながらチーム最多の29得点を記録。3ポイントシュートを面白いように沈め、レイカーズのアップセット(下剋上)の立役者となりました。
- レブロン・ジェームズからの信頼: 史上最高の選手の一人と称されるレブロンから、そのポテンシャルとIQを高く評価され、共にトレーニングを積む仲になったことも、彼の成長を加速させました。
2024-2025シーズンの飛躍:3&Dとしての完成形
2024-25シーズン、八村選手はレイカーズのスターティングラインナップに定着しました。
この時期、彼は自身のプレイスタイルを現代NBAに最適化させることに成功します。
以前はミドルレンジからのジャンプシュートが主体でしたが、コーチ陣の指導と自身の努力により、3ポイントシュートの精度を劇的に向上させました。
40%を超える成功率を維持しつつ、相手チームのエースをガードできるディフェンス力も備えた「3&D(3ポイントとディフェンス)」の選手として、リーグ内での市場価値をさらに高めました。
また、ゴール下への力強いドライブ(スラッシュ)も健在で、特に速攻の場面で先陣を切って走る姿は、レイカーズの攻撃オプションとして定石となりました。
2026シーズンの立ち位置:日本代表とNBAの架け橋
2026年現在、八村選手は27歳というアスリートとしての黄金期を迎えています。
- NBAでの安定感: 毎試合15〜18得点をコンスタントに稼ぎ、勝負どころでの得点能力はチームメイトからも絶大な信頼を得ています。
- 国際舞台での存在感: 2024年のパリオリンピックを経て、日本代表チームの精神的な柱としての自覚もより強まりました。渡邊雄太選手らと共に、日本バスケットボールのレベルを世界水準に引き上げた功績は計り知れません。
日本代表との確執は今後どうなるか分かりませんが、円満に解決を願うばかりです。
進化し続ける「Mid-range Assassin」
八村選手の最大の武器は、今も昔も「ミドルレンジの決定力」にあります。
現代バスケでは軽視されがちなこのエリアですが、彼はあえてその技術を磨き抜くことで、相手ディフェンスにとって最も守りづらい選手となりました。
また、近年ではパスの判断力(プレイメイキング)も向上しており、ダブルチームを受けた際に素早くフリーの味方を見つけるシーンが増えました。
単なるスコアラーから「ゲームを作れるフォワード」へと進化したことが、レイカーズというスター軍団の中で生き残っている最大の理由と言えるでしょう。
2026年のシーズンも佳境に入り、彼は再び「NBAチャンピオン」のリングを目指して戦っています。
彼の物語は、日本のスポーツ史において最も輝かしい章を更新し続けているのです。
キャリスタッツ
レギュラーシーズン
| シーズン | 年齢 | チーム | 出場試合 | 出場時間 | 得点 | リバウンド | アシスト | FG確率 | 3PT確率 | FT確率 | スティール | ブロック | TO |
| 19-20 | 21 | WAS | 48 | 30.1 | 13.5 | 6.1 | 1.8 | 46.6 | 28.7 | 82.9 | 0.8 | 0.2 | 1.1 |
| 20-21 | 22 | WAS | 57 | 31.5 | 13.8 | 5.5 | 1.4 | 47.8 | 32.8 | 77.0 | 0.8 | 0.1 | 1.1 |
| 21-22 | 23 | WAS | 42 | 22.5 | 11.3 | 3.8 | 1.1 | 49.1 | 44.7 | 69.7 | 0.5 | 0.2 | 0.8 |
| 22-23 | 24 | 2TM | 63 | 23.3 | 11.2 | 4.5 | 0.9 | 48.6 | 31.9 | 73.9 | 0.3 | 0.4 | 0.8 |
| 23-24 | 25 | LAL | 68 | 26.9 | 13.6 | 4.3 | 1.2 | 53.7 | 42.2 | 73.9 | 0.6 | 0.4 | 0.7 |
| 24-25 | 26 | LAL | 59 | 31.7 | 13.1 | 5.0 | 1.4 | 50.9 | 41.3 | 77.0 | 0.8 | 0.4 | 0.8 |
プレイオフ
| シーズン | 年齢 | チーム | 出場試合 | 出場時間 | 得点 | リバウンド | アシスト | FG確率 | 3PT確率 | FT確率 | スティール | ブロック | TO |
| 20-21 | 22 | WAS | 5 | 34.6 | 14.8 | 7.2 | 1.0 | 61.7 | 60.0 | 58.3 | 0.4 | 0.2 | 1.0 |
| 22-23 | 24 | LAL | 16 | 24.3 | 12.2 | 3.6 | 0.6 | 55.7 | 48.7 | 88.2 | 0.5 | 0.3 | 0.6 |
| 23-24 | 25 | LAL | 5 | 30.4 | 7.8 | 3.8 | 0.8 | 39.5 | 35.7 | 50.0 | 0.0 | 0.0 | 0.4 |
| 24-25 | 26 | LAL | 5 | 36.4 | 14.8 | 4.6 | 1.0 | 49.1 | 48.4 | 100 | 0.6 | 0.6 | 1.4 |
| 年齢 | 27歳 |
| 身長 | 203cm |
| 体重 | 104.5kg |
| 国籍 | 日本 |





















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