インディアナ・ペイサーズは、アメリカ合衆国インディアナ州インディアナポリスに本拠を置く、バスケットボールへの情熱が極めて高い「フージャー・ステイト(インディアナ州の愛称)」を象徴するNBAチームです。
本記事では、ABA時代の黄金期から、レジー・ミラーに代表される不屈の精神、そして現代の新たな躍進に至るまでの歴史と、チームを彩った名選手たちについて詳しく解説します。
チームの歴史:ABAの王朝からNBAへの挑戦
ABA時代の圧倒的支配
インディアナ・ペイサーズは1967年、当時存在したプロバスケットボールリーグ「ABA(アメリカン・バスケットボール・アソシエーション)」の創設メンバーとして誕生しました。
チーム名の「ペイサーズ」は、インディアナポリス500マイルレースの「ペースカー」や、同州で盛んな繋駕速歩競走(ハーネス・レーシング)に由来しています。
ABA時代のペイサーズは、まさにリーグ最高の「王朝」でした。
名将ボビー・”スリック”・レナード監督のもと、メル・ダニエルズ、ロジャー・ブラウン、ジョージ・マクギニスといった名選手を擁し、9年間で3度の優勝(1970年、1972年、1973年)を果たしました。
NBAへの加入と苦難の時代
1976年、ABAとNBAの合併に伴い、ペイサーズはNBAに戦いの場を移します。
しかし、高額な加入金の支払いや戦力制限の影響で、NBA加入直後の10年間は厳しい低迷期を過ごしました。
NBAの舞台でチームが再び輝きを取り戻すには、一人の偉大なシューターの登場を待つ必要がありました。
レジー・ミラーの時代:ニューヨークの天敵と悲願のファイナル
「ミラー・タイム」の到来
1987年のドラフト11位で指名されたレジー・ミラーは、ペイサーズの運命を永遠に変えました。
彼はNBA史上屈指のクラッチシューター(勝負所での得点者)として知られ、特にニューヨーク・ニックスとのプレーオフでの激闘は今も語り草です。
1995年のプレーオフで見せた「8.9秒間で8得点」という奇跡的なカムバックは、まさに「ミラー・タイム」の象徴でした。
2000年 NBAファイナル進出
1990年代後半、レジェンドのラリー・バードがヘッドコーチに就任すると、チームは更なる黄金期を迎えます。
2000年には、ミラーを中心にリック・スミッツ、ジェイレン・ローズらの活躍で、球団史上初のNBAファイナル進出を果たしました。
惜しくもシャキール・オニールとコービー・ブライアント擁するロサンゼルス・レイカーズに敗れましたが、インディアナの誇りを世界に示しました。
激動の2000年代とポール・ジョージの躍進
「パレスの騒乱」とその影響
2000年代半ば、ジャーメイン・オニールやロン・アーテスト(現メッタ・サンディフォード=アーテスト)を軸に、優勝を狙える強力なロスターを揃えていました。
しかし、2004年に発生した「パレスの騒乱(デトロイトでの大規模な乱闘事件)」により主力選手が長期出場停止となり、優勝のチャンスは露と消えました。
ポール・ジョージ対レブロン・ジェームズ
2010年代に入ると、新たなエース、ポール・ジョージが登場します。
強力な守備を武器とするチームへと変貌したペイサーズは、2013年、2014年と2年連続でカンファレンス決勝に進出。
レブロン・ジェームズ率いるマイアミ・ヒートと歴史的な死闘を繰り広げ、全米に衝撃を与えました。
現代の再建と2025年の躍進
タイリース・ハリバートンの衝撃
2022年、トレードで加入したタイリース・ハリバートンは、ペイサーズに「超攻撃的バスケットボール」という新たなアイデンティティをもたらしました。
彼の圧倒的なパスセンスと勝負強さにより、チームはリーグ屈指の得点力を誇るようになります。
2025年ファイナル進出と現在
2024-25シーズン、ペイサーズはパスカル・シアカムの獲得とハリバートンの成長により、25年ぶりとなるNBAファイナル進出という快挙を成し遂げました。
ファイナルではオクラホマシティ・サンダーと第7戦までもつれ込む激闘を演じ、惜しくも準優勝となりましたが、古豪復活を強く印象づけました。
2026年現在、チームはエースのハリバートンが負傷(アキレス腱の怪我)で離脱するという不運に見舞われ、戦績は低迷しています。
しかし、シアカムや若手のベネディクト・マサリンらを中心に、次なる飛躍に向けた強固な土台作りを進めています。
ペイサーズの歴代主要所属選手
ペイサーズの歴史を創り上げた主要な選手たちは以下の通りです。
| 選手名 | 在籍期間 | 主な功績・特徴 |
| レジー・ミラー | 1987-2005 | 球団史上最高の選手。稀代のシューター。 |
| メル・ダニエルズ | 1968-1974 | ABA優勝3回の立役者。2度のABA MVP。 |
| ポール・ジョージ | 2010-2017 | 攻守に優れたオールラウンダー。エースとして君臨。 |
| ジャーメイン・オニール | 2000-2008 | 2000年代のインサイドを支配したオールスター。 |
| ジョージ・マクギニス | 1971-1975他 | ABA時代のパワーハウス。得点王とMVPを獲得。 |
| リック・スミッツ | 1988-2000 | 「ダンキング・ダッチマン」の愛称で親しまれた長身C。 |
| タイリース・ハリバートン | 2022- | 現代の司令塔。2025年ファイナル進出の主役。 |
| パスカル・シアカム | 2024- | 攻守両面でチームを支える万能フォワード。 |
まとめ
インディアナ・ペイサーズは、どんなに困難な状況にあっても決して諦めない「ブルーカラー(労働者)」の精神を重んじるチームです。
ABAでの栄光、レジー・ミラーの執念、そして現代のハリバートンによる高速バスケット。
時代ごとに形を変えながらも、常にファンに愛される戦いを見せてきました。
現在は主力の怪我に苦しんでいますが、バスケットボールの聖地インディアナに再び歓喜の瞬間が訪れる日はそう遠くないはずです。



















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