ミルウォーキーバックスの歴史と主な所属選手

 

NBAの東カンファレンスに所属するミルウォーキー・バックスは、ウィスコンシン州ミルウォーキーを本拠地とし、リーグ屈指の歴史と伝統、そして現代の強さを兼ね備えたチームです。

1968年の創設以来、チームは二度のリーグ制覇を成し遂げ、カリーム・アブドゥル=ジャバーやヤニス・アデトクンボといった、バスケットボール史に名を刻む偉大なスーパースターを輩出してきました。

本記事では、バックスの誕生から黄金時代、低迷期を経て再び頂点に立つまでの軌跡と、その歴史を彩った主要な所属選手たちについて詳しく解説します。

ミルウォーキー・バックスの創設と最初の黄金時代(1968年 – 1975年)

ミルウォーキー・バックスは1968年にエクスパンション(新設)チームとして誕生しました。

初期の成功は、スポーツ界における「最も幸運な出来事」の一つから始まります。

伝説の始まり:カリーム・アブドゥル=ジャバーの獲得

1969年のドラフト、バックスはフェニックス・サンズとのコインフリップ(硬貨投げ)に勝利し、全体1位指名権を獲得しました。

そこで指名されたのが、当時ルー・アルシンダーと名乗っていたカリーム・アブドゥル=ジャバーです。

ジャバーは1年目から圧倒的なパフォーマンスを見せ、チームを前年の27勝から56勝へと押し上げました。

そして翌1970-71シーズン、チームはさらなる勝負に出ます。

シンシナティ・ロイヤルズから伝説的なガード、オスカー・ロバートソンをトレードで獲得したのです。

1971年の初優勝

ジャバーとロバートソンのデュオは無敵を誇りました。

このシーズン、バックスは当時のNBA記録となる20連勝を達成し、レギュラーシーズンを66勝16敗で終えました。

プレーオフでもその勢いは衰えず、ファイナルでボルチモア・ブレッツを4勝0敗のスイープで破り、創設わずか3年目にしてリーグ制覇という快挙を成し遂げました。

これは当時の北米プロスポーツ史上、新設チームによる最短優勝記録でした。

 

 

ドン・ネルソン体制と「ポイントフォワード」の時代(1976年 – 1980年代)

1975年にジャバーがレイカーズへ移籍した後、チームは再建を余儀なくされますが、名将ドン・ネルソンヘッドコーチのもとで、バックスは再び東の強豪としての地位を確立します。

シドニー・モンクリーフの活躍

1980年代のバックスを象徴する選手が、シドニー・モンクリーフです。

彼は史上初めて最優秀守備選手賞(DPOY)を2度受賞したガードであり、攻守においてチームの核となりました。

この時代のバックスは、ボストン・セルティックスやフィラデルフィア・76ersといった強豪と激闘を繰り広げ、毎年50勝以上を挙げる安定感を誇りました。

戦術的革新

ドン・ネルソンは、フォワードの選手にプレーメイクを任せる「ポイントフォワード」という概念をバックスで確立しました。

ポール・プレスリーらがその役割を担い、現代バスケットボールの先駆けとなる柔軟な戦術を展開しましたが、惜しくもファイナル進出には届かず、1980年代は「リーグ屈指の強豪でありながら優勝に手が届かない」という歯がゆい時代でもありました。

暗黒期と「ビッグ3」の躍進(1990年代 – 2000年代初頭)

1990年代に入ると、チームは長い低迷期に入ります。

しかし、1990年代後半から再び光が差し込みます。

2001年の東カンファレンス決勝進出

1996年のドラフトでレイ・アレンを獲得し、さらにグレン・ロビンソン、サム・キャセールを加えたバックスは、強力な「ビッグ3」を形成しました。

ジョージ・カール監督に率いられた2000-01シーズン、チームは爆発的な攻撃力を武器にプレーオフを勝ち進み、東カンファレンス決勝まで進出します。

 

 

アレン・アイバーソン擁する76ersと第7戦までもつれ込む死闘を演じましたが、惜しくもファイナル進出は逃しました。

その後、スター選手の放出やトレードの失敗が続き、2000年代中盤から2010年代初頭にかけては、プレーオフには進出するものの1回戦敗退が続く「中堅チーム」の状態が長く続きました。

ヤニス・アデトクンボの登場と50年ぶりの頂点(2013年 – )

バックスの歴史を永遠に変えたのは、2013年のドラフトでした。

全体15位という決して高くはない順位で、ギリシャから来た無名の若者、ヤニス・アデトクンボを指名したのです。

「ギリシャの怪物」の覚醒

入団当初は細身だったアデトクンボは、数年でNBA最強クラスの肉体とスキルを持つ怪物へと成長しました。

2019年、2020年と2年連続でMVPを受賞し、バックスは再びリーグのトップコンテンダーへと返り咲きます。

 

 

しかし、レギュラーシーズンで最高勝率を記録しながらも、プレーオフでは思うような結果が出ない時期が数年続きました。

そこでチームは、守備の名手ドリュー・ホリデーを補強し、生え抜きのスターであるクリス・ミドルトンとの強力な布陣を固めます。

2021年の劇的な優勝

そして迎えた2020-21シーズン、バックスはプレーオフでブルックリン・ネッツやアトランタ・ホークスを撃破し、47年ぶりにファイナルへ進出します。

フェニックス・サンズとの対戦となったファイナルでは、開幕2連敗という絶体絶命のピンチに陥りましたが、そこから驚異の4連勝を飾り、50年ぶり2度目の優勝を果たしました。

特に、第6戦でアデトクンボが記録した「50得点・14リバウンド・5ブロック」という伝説的なパフォーマンスは、NBAの歴史に永遠に刻まれることとなりました。

 

 

バックスの歴史を築いた主な所属選手

バックスの歴史を語る上で欠かせない、5人の偉大な選手を紹介します。

カリーム・アブドゥル=ジャバー

1969-1975

1971年優勝、MVP3回。

究極のシュート「スカイフック」の使い手。

 

 

オスカー・ロバートソン

1970-1974

1971年優勝。

史上最高のポイントガードの一人。

通算トリプルダブルの先駆者。

 

 

シドニー・モンクリーフ

1979-1989

史上初のDPOY。

1980年代のチームの心臓部として攻守で活躍。

 

 

レイ・アレン

1996-2003

NBA史上屈指のシューター。

2001年の東決進出の立役者。

 

 

ヤニス・アデトクンボ

2013-

2021年優勝、MVP2回、FMVP。

現代バックスの象徴。

 

 

現在と未来への展望

2023-24シーズン、バックスはさらなる高みを目指し、リーグ最高のスコアラーの一人であるデイミアン・リラードを獲得するというビッグトレードを断行しました。

アデトクンボ、リラード、ミドルトンのトリオは、リーグで最も恐れられる攻撃ユニットの一つとなっています。

スモールマーケット(地方都市)のチームでありながら、卓越したスカウティングと粘り強いチーム作りで成功を収めてきたバックスは、今や全NBAファンの注目を集める存在です。

50年前の栄光、2021年の歓喜を経て、彼らは今、三度目のリーグ制覇を目指して新たな歴史を刻み続けています。

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