デンバー・ナゲッツは、NBAウェスタン・カンファレンス・ノースウェスト・ディビジョンに所属するプロバスケットボールチームです。
1976年のABA-NBA合併によりNBAに加入し、コロラド州デンバーを本拠地としています。
本拠地はボール・アリーナで、所有者はスタン・クローンケ氏です。
2023年に初のNBAチャンピオンシップを獲得し、ニコラ・ヨキッチを中心とした強豪として活躍しています。
この記事では、1976年のNBA加入以降の歴史を振り返り、主な所属選手を紹介します。
NBA加入と初期の成功(1976-1982年)
1976年のABA-NBA合併でナゲッツはNBA入りし、ウェスタン・カンファレンスに所属しました。
ラリー・ブラウン監督のもと、初年度からディビジョン優勝を果たし、1976-77シーズンに50勝32敗、1977-78シーズンに48勝34敗で連続優勝。
プレーオフには進出しましたが、いずれも早期敗退でした。
中心選手はダン・イッセルとデビッド・トンプソンで、高得点攻撃を展開しました。
ブラウンが1979年に退団後、1980年と1981年にプレーオフを逃しましたが、1981年にダグ・モー監督が就任。
1981-82シーズンに平均126.5得点を記録し、136試合連続100得点以上というNBA記録を樹立しました。
この時代、チームはエンターテイメント性の高いバスケットでファンを魅了しました。
アレックス・イングリッシュ時代と黄金期(1982-1989年)
モー監督続投のもと、1980年代はアレックス・イングリッシュの活躍で飛躍しました。
イングリッシュ、キキ・ヴァンデウェイ、ダン・イッセルが得点力を発揮し、リーグ最多得点チームに。
1985年と1988年にミッドウェスト・ディビジョン優勝を達成し、1984-85シーズンにはウェスタン・カンファレンス・ファイナルに進出しましたが、ロサンゼルス・レイカーズに4-1で敗れました。
1987-88シーズンに54勝を挙げましたが、プレーオフ第2ラウンドでダラス・マーベリックスに敗退。
1983年のデトロイト・ピストンズ戦ではトリプルオーバータイムで370得点(186-184勝利)のNBA記録を更新しました。
1984年にヴァンデウェイをトレードでファット・リーバー等を獲得し、守備を強化。
オーナーはレッド・マコムズ氏からシドニー・シュレンカー氏、1989年にCOMSAT社へ移行しました。
この時期、ナゲッツは9年連続プレーオフ進出を果たしました。
低迷期とムトンボ時代(1989-1996年)
1989-90シーズンにモー監督が退団し、ポール・ウェストヘッド監督の「ラン・アンド・ガン」スタイルが導入されましたが、20勝62敗の最下位に沈みました。
1991年にディケンベ・ムトンボをドラフトし、再建を開始。
1992年にダン・イッセルが監督に就任し、ラフォンソ・エリスやブライアント・スティスを加えました。
1993-94シーズンに42勝40敗で8位シードとなり、史上初の8位から1位シアトル・スーパーソニックスを3-2で破る大金星を挙げましたが、第2ラウンドでユタ・ジャズに7戦で敗れました。
1994-95シーズンも8位シードで進出しましたが、サンアントニオ・スパーズにスイープされました。
1996年にムトンボをアトランタ・ホークスへトレードし、低迷が続きました。
苦闘の時代(1996-2003年)
1990年代後半から2000年代初頭は厳しい時期で、1997-98シーズンに11勝71敗(23連敗タイ記録)、2002-03年に17勝65敗を記録しました。
監督はジーン・リトルズやバーニー・ビッカースタッフらが交代。
オーナーシップも不安定で、COMSATからリバティ・メディアへ、2000年にスタン・クローンケ氏が4億5000万ドルで買収しました。
イッセル監督が1999-2001年に復帰しましたが、成果は出ず、再建の必要に迫られました。
カーメロ・アンソニー時代(2003-2011年)
2003年にカーメロ・アンソニーを全体3位でドラフトし、復活の兆し。
GMキキ・ヴァンデウェイのもと、2003-04シーズンにプレーオフ復帰(ミネソタ・ティンバーウルブズに4-1敗退)。
2005年にジョージ・カール監督が就任し、2005-06シーズンに47勝35敗でディビジョン優勝しましたが、ロサンゼルス・クリッパーズに4-3で敗れました。
2006年にアレン・アイバーソンを獲得し、得点力でリーグトップとなりましたが、ケミストリーの問題で早期敗退が続きました。
2006年のニューヨーク・ニックス戦乱闘でアンソニーらが出場停止処分。
2007-08シーズンに50勝で8位シードとなり、レイカーズにスイープ。
2008年にアイバーソンをチャンシー・ビルップスへトレードし、2008-09シーズンに54勝でディビジョン優勝、カンファレンス・ファイナル進出(レイカーズに4-2敗退)。
2009-10シーズンも53勝でディビジョン優勝。
2011年にアンソニーをニューヨーク・ニックスへトレードしましたが、50勝を維持し、オクラホマシティ・サンダーに4-1で敗れました。
この時代、8年連続プレーオフ進出を果たしました。
チームコンセプトとヨキッチ時代(2011-現在)
2011年以降はチームワーク重視。
2012年にネネをトレードし、アンドレ・イグダラを獲得。
2012-13シーズンに57勝のフランチャイズ記録を樹立しましたが、ゴールデンステート・ウォリアーズに4-3で敗退。
カール監督が最優秀監督賞を受賞後解任され、ブライアン・ショー監督(2013-2015)が就任しましたが、低迷。
2015年にマイケル・マローン監督が就任し、ニコラ・ヨキッチ(2014年41位ドラフト)とジャマール・マーレー(2016年ドラフト)を軸に再建。
2018-19シーズンに54勝でディビジョン優勝、プレーオフでサンアントニオ・スパーズを4-3で破りましたが、ポートランド・トレイルブレイザーズに4-3で敗退。
2019-20シーズンにバブルでユタ・ジャズとロサンゼルス・クリッパーズから3-1逆転勝利を果たしましたが、レイカーズに4-1で敗れました。
2020-21シーズンにヨキッチが初MVPを獲得し、47勝でディビジョン優勝しましたが、フェニックス・サンズにスイープ。
2021-22シーズンもヨキッチが2年連続MVP。
2022-23シーズンに53勝で1位シード、レイカーズをスイープし、初のNBAファイナル進出。
マイアミ・ヒートを4-1で破り、初優勝を達成しました。ヨキッチがファイナルMVPに輝きました。
2023-24シーズンに57勝で2位シード、レイカーズを4-1で破りましたが、ミネソタ・ティンバーウルブズに4-3で敗退。
ヨキッチが3度目のMVPを獲得。
2024-25シーズンに50勝32敗で4位シード、ラッセル・ウェストブルックとダロン・ホームズ2世を獲得しましたが、ケンタビアス・コールドウェル・ポープを失いました。
プレーオフでクリッパーズを4-3で破りましたが、オクラホマシティ・サンダーに3-4で敗退。
2025年4月8日にマローン監督とGMカルビン・ブースが解任され、デビッド・アデルマン監督が就任。
2025年3月7日にヨキッチがNBA史上初の30得点・20リバウンド・20アシストを記録しました。
ディビジョン優勝は10回、殿堂入り選手は複数います。
主な所属選手
ナゲッツの歴史を象徴する選手は、1976年以降に数多く登場しました。
まず、ニコラ・ヨキッチ(2015-現在)。
41位ドラフトのセンターで、3度のMVP(2021,2022,2024)と2023年ファイナルMVPを獲得。
2023年優勝の立役者で、2024-25シーズンに平均29.6得点、12.7リバウンド、10.2アシストを記録。
2025年の30-20-20ゲームは伝説です。
アレックス・イングリッシュ(1980-1990)は、殿堂入り(1997)。
フランチャイズ通算得点王で、1982-83得点王。
1980年代の高得点チームを牽引し、ディビジョン優勝2回に貢献。
背番号2引退。
カーメロ・アンソニー(2003-2011)は、2003年ドラフト3位。
殿堂入り(2025)。
8年連続プレーオフ進出へ導き、平均22.8-30.7得点。
2009年カンファレンス・ファイナルで活躍。
ダン・イッセル(1976-1985)は、殿堂入り(1993)。
初期NBA成功の中心で、通算14,659得点。
監督としても1994年大金星を演出。
背番号44引退。
ディケンベ・ムトンボ(1991-1996)は、ブロック王4回。
1994年の8位シードアップセットを支え、守備の象徴。
背番号55永久欠番。
ファット・レバー(1982-1990)は、トリプルダブル記録保持者。
1980年代のオールラウンドプレーで貢献。
背番号12永久欠番。
デビッド・トンプソン(1976-1982)は、殿堂入り(1996)。
初期の高得点攻撃の中心。
背番号33永久欠番。
その他、ジャマール・マーレー(2016-)は、2020年バブルで50得点、2023年優勝に貢献。
アーロン・ゴードン(2020-)は、2024-25プレーオフのゲームウィニングダンクで活躍。
チャンシー・ビルップス(2008-2011)は、2009年カンファレンス・ファイナルを導きました。
アレン・アイバーソン(2006-2008)は、短期間で得点王級の活躍。
まとめ
ナゲッツは、1976年のNBA加入以来、高得点攻撃の伝統からヨキッチ時代のバランスバスケットへ進化しました。
2023年の初優勝は集大成で、2024-25シーズンの粘り強い戦いも印象的です。
将来的にさらなる栄光を期待します。
ナゲッツの物語は、忍耐と革新を体現しています。
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