NBA東カンファレンスに所属するシャーロット・ホーネッツは、その象徴的な「ティール(鴨の羽色)」と「パープル」のチームカラー、そして波乱に満ちた歴史を持つチームとして知られています。
マイケル・ジョーダンのオーナー就任や、一度は失われたチーム名の奪還など、他のNBAチームにはないユニークな軌跡を辿ってきました。
本記事では、シャーロット・ホーネッツの誕生から現在に至るまでの変遷と、チームを彩った伝説的な名選手たちについて詳しく解説します。
シャーロット・ホーネッツの歴史:誕生から「奪還」まで
チームの創設と1990年代の黄金期
シャーロット・ホーネッツは、1988年にNBAの拡張(エクスパンション)チームとしてノースカロライナ州シャーロットで産声を上げました。
初代オーナーのジョージ・シンが率いたチームは、当初こそ苦戦したものの、1990年代に入ると爆発的な人気を博します。
1991年のドラフトでラリー・ジョンソン、1992年にアロンゾ・モーニングを獲得したことで、チームは一躍強豪へと成長しました。
当時のホームアリーナ「シャーロット・コロシアム」は、NBA記録となる364試合連続完売を記録するなど、「ザ・ハイブ(蜂の巣)」の愛称で親しまれ、全米で最も熱狂的なファンを持つチームの一つとなりました。
ニューオーリンズへの移転と「ボブキャッツ」時代
しかし、2000年代初頭、オーナーの不祥事や新アリーナ建設を巡る市との対立により、ホーネッツは2002年にニューオーリンズへと本拠地を移します。
シャーロットからNBAチームが消えた瞬間でした。
その後、2004年にシャーロットには再び「シャーロット・ボブキャッツ」という新チームが誕生します。
しかし、かつての「ホーネッツ」ほどの熱狂を取り戻すのは容易ではありませんでした。
2010年には、ノースカロライナ州出身のバスケットボールの神様、マイケル・ジョーダンが筆頭オーナーとなり、再建を託されました。
「ホーネッツ」名の奪還
転機が訪れたのは2013年です。
ニューオーリンズ・ホーネッツがチーム名を「ペリカンズ」に変更することを決定したため、シャーロット側に「ホーネッツ」の名前を戻すチャンスが巡ってきました。
2014-15シーズンより、チームは再び「シャーロット・ホーネッツ」として再出発を切りました。
この際、単なる名前の変更だけでなく、ボブキャッツ時代の記録に加えて、2002年以前の旧ホーネッツ時代の歴史や統計もシャーロット側に統合されることになり、名実ともに「シャーロットの伝統」が復活したのです。
ホーネッツを象徴する主な所属選手
ホーネッツの歴史を語る上で欠かせない、時代を作った名選手たちを紹介します。
マグジー・ボーグス(1988–1997)
身長160cmという、NBA史上最も低い身長ながら、圧倒的なスピードとスティール技術でリーグを席巻したポイントガードです。
彼の存在は、サイズがすべてではないことを証明し、今なお世界中のファンから愛されています。
ホーネッツ初期の象徴であり、アシスト数とスティール数で今もチーム記録を保持しています。
ラリー・ジョンソン(1991–1996)
1991年のドラフト全体1位指名で入団し、新人王を獲得したパワーフォワードです。
屈強な肉体と高い身体能力を誇り、「グランドママ」というキャラクターで出演したCMでも人気を博しました。
アロンゾ・モーニングとのコンビは、当時のNBAで最もエキサイティングなフロントコートの一つでした。
アロンゾ・モーニング(1992–1995)
1992年のドラフト全体2位指名で入団した、NBA屈指のセンターです。
強烈なブロックショットとゴール下での闘争心でチームのディフェンスを支えました。
わずか3シーズンの在籍でしたが、ホーネッツをプレーオフ常連チームへと押し上げた最大の功労者です。
デル・カリー(1988–1998)
ステフィン・カリーの父としても知られる、ホーネッツ創設期を支えた名シューターです。
主にベンチから出場するシックスマンとして活躍し、1994年にはシックスマン賞を受賞しました。
正確無比なアウトサイドシュートは、ホーネッツの貴重な得点源でした。
ケンバ・ウォーカー(2011–2019)
ボブキャッツ時代から再改名後のホーネッツまで、低迷期を支えたエースポイントガードです。
チーム歴代最多得点記録を持ち、4度のオールスター選出を果たすなど、2010年代のチームの顔でした。
そのプレースタイルと誠実な人柄で、地元ファンからは絶大な支持を得ていました。
現在とこれからの展望
現在のホーネッツは、若きスターを中心に新たな時代を築こうとしています。
ラメロ・ボールの存在
2020年のドラフト全体3位で指名されたラメロ・ボールは、類まれなパスセンスとスター性を兼ね備えた現代の看板選手です。
新人王を獲得し、オールスターにも選出されるなど、ホーネッツに再び「観る者をワクワクさせるバスケットボール」をもたらしました。
ブランドン・ミラーと新体制
2023年のドラフトでは全体2位でブランドン・ミラーを指名。
さらに、長年オーナーを務めたマイケル・ジョーダンがチームの過半数の株式を売却し、リック・シュナルとゲイブ・プロトキンを中心とする新オーナーグループが舵取りを行うことになりました。
長らくプレーオフ進出から遠ざかっているホーネッツですが、若手有望株の成長とフロント陣の刷新により、かつての「ザ・ハイブ」の熱狂を取り戻すための準備が整いつつあります。
最後に
シャーロット・ホーネッツの歴史は、一度は失われたアイデンティティを取り戻すための再生の物語でもあります。
マグジー・ボーグスの時代に熱狂したオールドファンから、ラメロ・ボールの華麗なプレーに魅了される新しいファンまで、世代を超えて愛されるポテンシャルを秘めています。
伝統のティールカラーを纏い、再びプレーオフの舞台で「蜂の軍団」が暴れ回る日は、そう遠くないかもしれません。





















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