フェニックス・サンズ(Phoenix Suns)は、アリゾナ州フェニックスを本拠地とする、NBAでも屈指の歴史と人気を誇るチームです。
1968年の創設以来、サンズは「バレー・オブ・ザ・サン(太陽の谷)」と呼ばれるこの地に、常にエキサイティングで攻撃的なバスケットボールをもたらしてきました。
いまだ悲願の優勝こそ成し遂げていませんが、その歴史は数々の偉大な選手と、NBAの戦術を根底から変えた革新的なプレースタイルで彩られています。
本記事では、創設期から現在(2026年)に至るまでのサンズの軌跡と、チームの象徴である歴代のスター選手たちについて詳しく解説します。
創設と「サンデレラ・サンズ」の奇跡
サンズの歴史は、1968年にミルウォーキー・バックスと共に拡張チームとしてスタートしました。
アリゾナ州で最初の主要プロスポーツチームとなったサンズは、当初から地元の熱狂的な支持を集めました。
初期のスター、コニー・ホーキンスの加入によりチームは徐々に力をつけ、1976年には大きな転機を迎えます。
この年、サンズは「サンデレラ・サンズ(Sunderella Suns)」と呼ばれる快進撃を見せ、初のNBAファイナルに進出しました。
ボストン・セルティックスとの第5戦は、今なお「NBA史上最高の試合」の一つに数えられる伝説のトリプル・オーバータイムとなりました。
惜しくも優勝は逃しましたが、この成功がサンズを強豪チームの仲間入りをさせることになりました。
チャールズ・バークレーと1993年の熱狂
1980年代後半、ケビン・ジョンソンやダン・マーリー、トム・チェンバースといった実力派を揃えたサンズは、1992年にフィラデルフィア・76ersからチャールズ・バークレーをトレードで獲得します。
この補強はチームに劇的な変化をもたらしました。
「サー・チャールズ(バークレー卿)」の愛称で親しまれた彼は、移籍1年目でシーズンMVPを受賞。
チームは球団記録となる62勝を挙げ、1993年のファイナルに進出しました。
マイケル・ジョーダン擁するシカゴ・ブルズとの激闘は全米を熱狂させましたが、あと一歩のところで王座には届きませんでした。
しかし、この時期のサンズは間違いなくリーグの顔であり、サンディエゴから移転して以来の全盛期を謳歌していました。
「7セカンズ・オア・レス」:スティーブ・ナッシュの革命
2000年代半ば、サンズはNBAの歴史を塗り替える革命的な戦術を披露します。
2004年にスティーブ・ナッシュが復帰し、マイク・ダントーニ監督の下で「7セカンズ・オア・レス(7秒以内の攻撃)」と呼ばれる超高速オフェンスを確立したのです。
ナッシュはこのシステムを完璧に操り、2年連続のMVPを受賞。
アマレ・スタウダマイアーやショーン・マリオンとの連携は芸術的で、サンズはリーグで最も魅力的で恐れられる攻撃軍団となりました。
この戦術は、後のスモールボールの流行や現代のNBAにおけるハイペースなオフェンスの礎となりました。
彼らは何度もカンファレンス・ファイナルまで進みますが、ティム・ダンカン擁するサンアントニオ・スパーズなどの壁に阻まれ、またしても優勝には届きませんでした。
低迷期からの復活:デビン・ブッカーと2021年の挑戦
ナッシュ時代の終焉後、サンズは10年に及ぶプレーオフ進出なしという長い暗黒期を経験します。
その暗闇の中で一筋の光となったのが、2015年にドラフトされたデビン・ブッカーでした。
彼は弱冠20歳で1試合70得点を記録するなど、圧倒的なスコアリング能力を見せ、再建の核となりました。
そして2020年、「ポイント・ゴッド(PGの神)」ことクリス・ポールの加入がすべてを変えました。
ポールのリーダーシップとブッカーの才能、そしてディアンドレ・エイトンの成長が噛み合い、2021年には28年ぶりとなるファイナル進出を果たします。
ミルウォーキー・バックスを相手に2連勝と先行しましたが、そこから4連敗を喫し、三度目の正直とはなりませんでした。
現在:超攻撃型ビッグ3の結成後
2023年、チームはマット・イシュビア新オーナーの下で大胆な改革に打って出ました。
シーズン途中に現役最高のスコアラーの一人であるケビン・デュラントを獲得。
さらに、ブラッドリー・ビールを加え、ブッカーと共に強力な「ビッグ3」を形成しました。
しかし思ったような結果は得られず、デュラント、ビール共にチームを去りました。
現在(2026年1月)、サンズはジョーダン・オット監督(2025年就任)の指揮の下、ウェスタン・カンファレンスの上位に位置しています。
ブッカーを中心にトレードで獲得した若手選手がケミストリーを高めチームでの勝利を目指します。
主な歴代・現役所属選手プロフィール
スティーブ・ナッシュ(Steve Nash)
在籍期間: 1996–1998, 2004–2012
実績: MVP2回、アシスト王5回、殿堂入り
特徴: サンズの攻撃的文化を象徴する司令塔。
驚異的なパスセンスと正確無比なシュートで、NBAに「ラン&ガン」の革命を起こしました。
チャールズ・バークレー(Charles Barkley)
在籍期間: 1992–1996
実績: MVP1回、オールスター選出(サンズ在籍時4回)、殿堂入り
特徴: 圧倒的なパワーと闘争心を持つフォワード。
1993年にチームをファイナルへ導き、フェニックスの街をバスケットボール一色に染め上げました。
デビン・ブッカー(Devin Booker)
在籍期間: 2015–現在
実績: オールスター選出複数回、オールNBAチーム選出
特徴: 現代サンズの象徴。
暗黒期からチームを支え続けた忠誠心と、どんな状況からでも得点を奪えるシュート技術を持つ、現役屈指のSGです。
ケビン・デュラント(Kevin Durant)
在籍期間: 2023–2025
実績: MVP1回、得点王4回、優勝2回(キャリア)
特徴: 歴史上最も効率的なスコアラーの一人。
サンズに悲願の初優勝をもたらすための「最後のピース」として期待されました。
クリス・ポール(Chris Paul)
在籍期間: 2020–2023
実績: アシスト王5回、スティール王6回(キャリア)
特徴: 2021年のファイナル進出の立役者。
低迷していたサンズに「勝利の文化」と規律を植え付けた、偉大なリーダーです。
アルヴァン・アダムス(Alvan Adams)
在籍期間: 1975–1988
実績: 新人王(1976年)、背番号33は永久欠番
特徴: サンズ一筋13年を捧げたレジェンド。
1976年のファイナル進出に大きく貢献し、出場試合数など多くの球団記録を保持しています。
最後に
フェニックス・サンズの歴史は、決して平坦なものではありませんでした。
ファイナルでの惜敗、長い低迷期、そして劇的な復活。
しかし、その根底には常に「美しく、攻撃的なバスケットボール」へのこだわりがあります。
ナッシュがパスを通し、バークレーが吠え、ブッカーがシュートを沈める。
そのすべての瞬間が、フェニックスの太陽のように熱くファンの心を照らしてきました。
サンズの挑戦は、今この瞬間も続いています。

























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